雑記帳

私の頭と心の中

怒りの10倍けんちん汁

今はすっかり回復したが、先週の日曜日辺りから体調がイマイチ優れなかった。

 

時節柄、もしかしたらウイルスに感染したのかもしれないと当然最初は心配した。しかし、よくよく自分の体調を観察してみるとコロナウイルスによって現れる諸症状とはだいぶ違う。嗅覚・味覚に異常はほぼ無いし、呼吸器官に概ね異常はない。発熱もあまりしていなかったと思う。自覚症状は強めの倦怠感と痰が絡むことぐらいだ。

思えば、毎年この時期に自分は体調を崩しやすい。去年もこの時期にインフルエンザに罹患していた。随分季節外れなもので、ちょっとした一人パンデミックを引き起こしかけたことを反省している。

恒例の春の風邪が今年もやってきたのではないのか。自覚する限りでは風邪のひき始めくらいの軽症であり、病院に診察に行くのもこの情勢ではかえって危ないと判断し、大人しく家で寝ていることにした。

(↑去年の同時期)

 

で、食糧を買い込み家で寝ていたのだが、一つだけ困る事があった。キッチン器具を触ることが出来ない。

ウイルスに感染している可能性こそかなり低いものの、万が一の事を考えると実家暮らしの私は家族と共用しているものに触れるわけにはいかない。タオルやら他の生活用品は自分が使うものを部屋に置きマーキングすれば良いが、包丁、鍋、ボウル等調理器具だけは自分用のものが無く、自炊する事ができない。

 

 

そんな訳でしばらくはコンビニ・スーパーで買った惣菜を食べていた。作り置きの惣菜を買って食べる事自体は普段もままある事で、今はコンビニ惣菜もレパートリーが豊富で基本的には不便さを感じることはない。

しかし、それが2〜3日続くとどうしても我慢ならない事が生じてくる。

汁物がインスタントのものしか食べられないのだ。

 

 

かねてからの私の勝手な持論として、食事の満足感の多くを担っているのは実は副菜汁物だ、と信じている。主菜=おかずは何が来たってある程度収まるところには収まる。バンドでライブをする時、結局は最後に何の曲を持ってきた所で「これが最後の曲です」とMCをすれば、最後であるというエモさで何とかなるのと同じだ(?)。代表曲を持ってきたっていいし、一番客がノレるポップな曲でも良いし、テクい曲でもバラードでも良い。

一方、退屈なライブにさせないためにはクライマックスへの持っていき方のほうが難しい。徐々にボルテージを高めていくセトリにするのか、最初はぶち上げて中盤を落ち着かせるのか、エモ曲とチル曲を交互に並べるのか、意外とパターンが限られてくる。食事における副菜と汁物もこれと同じで、サラダ・スープといったものは自分で作るとなるとおかずに比べレパートリーが限られがちになる(気がする)。ここの質を如何に高めるか、正におかずの「お膳立て」こそが勝負の鍵になるというのが私の勝手な考えだ。

 

この点で、汁物をインスタントしか食べられないというのは食事のセトリにおいてダメージが余りに大きい。副菜はコンビニ惣菜でも何とかなるが、汁物は何ともならない。最後に持っていきたい曲は沢山あるのに、序中盤に持ってこれる曲は毎度同じようなレパートリー(それも薄っぺらい味付けの打ち込み4つ打ち系)しかない。これが中々耐え難い。文句を言った所で現状は変わらないので、当面は我慢しつつ、体調が回復したらエモくてテクくてぶち上げで全ての要素を詰め込んだ汁物を作ってたらふく食べるぞ、そういった忸怩たる思いで布団の中に潜っていた。

 

 

 

 

その結果として、体調が回復した金曜日、スーパーで根菜を買い漁り、出汁をとり、4人前レシピの更に分量2.5倍、10倍けんちん汁が我が家に召喚された。その日の食事用、つまみ食い用、保存用、勿論全部1人占め。これこそ大人の醍醐味である。

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